こんにちは!
リアルドッグ栄養セラピー
ナビゲーターの前田みほりです。
「旭山動物園」で知られる坂東園長と、
ともちん先生の貴重な対談をもとにお届けする
【いのちのお話シリーズ】の第二弾。
今回は「犬と人との関係」について、
坂東園長のリアルな体験をもとに、
時代と共に変わる犬の存在について
考えてみたいと思います。
昔の日本にいた「犬」の姿とは?
坂東園長談:
昔、僕が子どもだった頃(40〜50年前)、
犬というのは今とはまるで違う存在でした。
当時は野犬がたくさんいて、
普通に「野犬狩り」が行われていた時代。
保健所から引き取られた犬が、
動物園の肉食動物のエサに
されるなんてことも普通にあったんです。
僕自身、野犬に取り囲まれて
命の危険を感じたことも何度もありました。
夜に山に虫取りに行く時は、
「○時までに帰ってこいよ」って親に言われて、
山の中から犬の遠吠えが聞こえてくる…。
それが当たり前だった時代。
今みたいに「犬は家の中で大切に飼うもの」
なんて感覚は、全くなかったんです。
「座敷犬」の登場と価値観の変化
そんな野犬が日常にいた時代から、
いつの間にか犬は
「外でつながれている存在」から
「家の中で一緒に暮らす存在」へと
変わっていきました。
福祉や倫理の進化と共に、
犬を「家族」として迎える価値観が
浸透してきた。
けれどもその一方で、
「人間の勝手な都合」で
犬の扱いが変わっていくのを見て、
複雑な気持ちにもなるんです。
昔は、残飯を少し分けてやる程度でも
「一緒に生きている」感覚があったし、
それでも犬は幸せそうに見えた。
でも今は、
「管理された食事」
「医療の徹底」
「入院設備まで完備」
…それが本当に犬の幸せなのか?と、
ふと思うこともあります。
人間は自分の都合で
ルールや価値観をどんどん変えていく。
だからこそ、「犬の幸せって何だろう?」
と立ち止まって考える必要があると感じるのです。
犬種のルーツと“本来の姿”を見直す

そして今、自分のもとには、
昔ムツゴロウ王国にいた犬たちの
血を引く子が1頭います。
以前は4頭いて、バセットハウンド、
レトリバーなど様々でした。
彼らは元々「使役犬」。
つまり、人のために働くように
品種改良された犬たちなんです。
たとえばバセットハウンドは猟犬。
白いしっぽを振りながら
獲物を追い詰めていく。
卵を見つけたら、迷わずパクっと食べちゃうんです。
でもレトリバーは違います。
卵を見つけても食べずにそっとくわえて、
「見つけてきたよ」って持ってくる。
なぜなら「回収犬」として作られたから。
遺伝子レベルで、そういう行動をするようにできている。
それなのに、見た目だけで犬を選び、
「うちの子はなんで言うこと聞かないんだろう?」
と悩む飼い主が多い。
ボーダーコリーだって、元は牧羊犬で、
甘噛みしながら群れをまとめる本能があるんです。
家の中に閉じ込めておとなしくさせようなんて、
無理があるんですよね。
犬は「お利口かどうか」ではなく、
「その子が持って生まれた性質に
合った環境で暮らせているか」
が大切なんです。
おわりに
犬を家族として迎えるということは、
その犬の「背景」や「本来の姿」まで
理解しようとする姿勢が必要です。
見た目や流行で選ぶのではなく、
私たち人間がどれだけ犬の本質を
尊重できるかが問われている
時代なのかもしれません。