重症化した「気管虚脱」の犬の飼い主さんがやってしまっていたこと

「気管支拡張薬や、咳止めを飲ませても、
どんどん悪化している。」
気管虚脱・気管支虚脱・気管軟化症の
「お薬を飲ませてもよくならない。」

このような子の飼い主さんに
聞き取りをすると、ほぼ100%の確率で、
咳に対する「ある対応」をしていました。

これは、気管虚脱のケアをする際に、
正しい判断をして、犬の寿命を守るために、
最も基本的で重要な事柄になります。

咳が治りにくくなる飼い主さんの対応

気管虚脱や、気管支虚脱、気管軟化症の
わんちゃんの中には、

*手術を薦められている
*酸素室をレンタルし、
自宅で使用している。
*病院に毎日通院し、
ステロイド剤を毎日のように注射している。
*起きていると咳が止まらず、
鎮静剤を内服用に調整してもらい、
自宅で飲ませて寝かせている。

このように重症化する子がいます。
他にも、

*気管支拡張薬や、咳止めを飲ませても、
どんどん悪化している。
*薬を飲ませてもよくならない。

このような子の飼い主さんに
聞き取りをすると、ほぼ100%の確率で、
タイトルの「やってしまっていたこと」を
やっていました。

*咳をしていると心配で、
駆け寄って背中をさすってあげる。
*大丈夫?と声をかける。
*咳が始まると、抱っこをして

治まるまで抱っこでよしよしとしてあげる
*食べていると咳が治まるので、

咳が始まると、おやつをあげる。

これらの飼い主さんの善意の対応が、
咳が治りにくくなる
原因になってしまいます。

なぜ、このような対応が、悪化の原因になるのか?

気持ちはとてもわかります。

ですが、
わんちゃんはとってもかしこいので、
咳をすると、飼い主さんが
やさしくしてくれて、
抱っこしてくれて、おやつをくれる
ということを、すぐに覚えます。

何も問題なければ、
してあげてもいいのですが、
この飼い主さんの善意の行動が、
症状の改善と悪化の判断を、
難しくしてしまいます。

本当はよくなってきているのに、
悪化傾向と判断され、
お薬がどんどん増えます。

咳をし続ければ、
気管の炎症は治まりにくくなります。

どうすればいいの・・・?

じゃあどうすればいいのか。
かわいそうな時に、
放っておけというのか・・・

その心情を考慮し、
私のクリニックでは、
以下のようにお伝えしています。

咳をしている間は、
我慢して、黙って横目で
見守ってあげてください。

咳が治まったら、
「大丈夫だった?咳が治まって
よかったね。」

と、声をかけてあげたり、
なでてあげたりしてください。

これだけです。

このような対応を一貫して
していただければ、
症状が改善しているのか、
もしくは、

症状が本当の意味で
悪化しているのか、
正しい判断ができます。

すなわち、
正しい治療ができるのです。

ほとんどの方は、
「咳が始まると」、声をかける、
なでる、抱っこする、おやつをあげる

ということを、されています。

これを、「咳が始まると」
ではなく、
「咳が治まったら」してあげて
ください。

薬を増やさなくてもよくなった!

あるチワワちゃんは、

お薬を飲んでも咳が治まらず、
お薬の数がどんどん増えて、
ついにはステロイド剤でも治まらなく
なりました。

そこで、上記のことを
お伝えしたところ、
お薬の数は減っていき、
副作用の少ない漢方薬のみ
済むようになりました。

あるマルチーズちゃんは、

お薬がかなり多い状態で
さらに咳がひどくなりましたが、
上記のことをお伝えしたところ、
薬を増やさずに維持できることが、
わかりました。

もう一人、あるチワワちゃんは、

咳が止まらないと、鎮静剤を、
おやつのチュールに混ぜて
飲ませていました。

試しにお薬を混ぜないで、
チュールだけをあげてみたとろ、
同じように咳が止まりました

中には、飼い主さんが、
このようなことをなかなか
受け入れられないことがあります。

ですが、たったこれだけのことで、
鎮静剤を毎日のように飲ませたり、
手術をしたり、ステロイド剤を
毎日飲ませたり、といった、

明らかに寿命を縮めるような
副作用の強い治療が必要なくなります。

そしてこれもやはり、
どうしようもなく咳が悪化してしまう前に、
実行する必要があります。

ここまで、
気管虚脱、気管支虚脱、気管軟化症、
気管支軟化症
といった、
「咳」を主症状とする病気の時の、
自宅ケアで、

一番最初に気を付けなければならない
「行動学的要因」について、
お話ししました。

咳が出ている最中は、横目で見守り、
咳が治まってから声をかけること、
咳が出ている時に、
お薬を包むものも含めて、
おやつや食事を与えないこと、が大切です。

すでにやってしまっている方は、
少し時間がかかるかもしれませんが、
今からでも、このようなことを
意識して、ケアをしてみてくださいね。

こちらの電子小冊子にも、
気管虚脱の自宅ケアについて、
まとめてあります。

『気管虚脱の犬のための
おうちケアハンドブック』
ダウンロード
https://www.agentmail.jp/lp/r/3410/61909/

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