野生動物を「管理」する

野生動物

人と地域の野生動物の
接触が増えています。

動物のせいで、人が
被害を被り、「駆除」という
言葉が、動物に対して使われる時、

私はものすごい違和感を
感じます。

野生動物と人の接触

私は、動物が好きです。
今、地球上で危機に瀕している
動物たちのために、
何かできることはないかと
考えています。

それは同時に、同じ
地球上に生きる、私たち人間を
守ることでもあるんです。

今、野生動物や地域動物と、
人の関係を考えると、
最近は、ますます、
国内の野生動物と人の
接触の話題が増えています。

先日も、クマの話題がありました。
高齢の女性が、クマに襲われて
亡くなったそうです。

そして北海道では、
鹿が増えすぎて、
農作物への被害が深刻で、
毎年14万頭もの鹿を
「駆除」しないと、
人が生きていけないほどの
状況になっているそうです。

私たちは、北海道だけで
14万頭もの鹿を、
毎年殺しているわけです。

なぜそこまで鹿が
増えてしまったのか、
原因は人にあります。

自然界の中で、
鹿を食べていたオオカミを、
人間が絶滅させてしまった
そのことが、鹿が増えた、
一番の原因になっています。

それ以外にも、
温暖化の影響、それだって、
結局は人間が原因です・・・

「種(しゅ)」を強くする、自然のちから

エゾオオカミが絶滅する
原因を作った人間は、
オオカミがいなくなったことで
増えすぎた鹿のせいで
農作物の被害が大きくなり、
今度は鹿を駆除しています。

私がペット医療の世界で、
使わないようにすごく
気を遣っている言葉があります。

それは、「淘汰」という
言葉です。

自然界では、弱い個体が
環境に耐えられなかったり、
生態系の上位の動物に
食べられたりしても、

強い個体は生き残り、
生き残った個体が繁殖
していくことで、
「種」の強さが保たれ、
地球環境の変化にも
適応していきます。

それを「自然淘汰」と言います。

ところが、北海道の
鹿の駆除では、14万頭という
すごくたくさんの鹿を一度に
駆除するために、

鹿の群れを崖の際に追いやって、
一斉に猟銃で駆除するそうです。

そんなやり方をしたら、
将来の鹿を背負って
生き残って行くはずの
鹿さんさえも、関係なく、
「淘汰」することに
なってしまいます。

犬も同じです。
自然淘汰ではなく、
「人為淘汰」で、
人の望む性質を残すために、
品種が作られてきました。

もともとは使役犬として、
人の仕事を手伝うための
性質を選んで、品種が
作られてきています。

だから、体が弱くなり、
品種に特有の病気があるのです。

一方で、
目的を持って、作られてきた
使役犬は、その品種特有の
行動の傾向があります。

かわいいから、だけではなく、
その犬種の特性を理解して
飼うことが、後々、
しつけの問題で困ったり
しないために、
大切なことですよね。

命をつないで、旅立つとき

さて、オオカミと鹿と
人間の話に戻ります。

人間が、自然界の生態系を壊し、
壊れた生態系の弊害が、
人間に返ってくることが、
あります。

困ったら、「駆除」という
無理やりな、また大量の命を
自然界のバランスと関係なく
壊してしまうやり方ではなく、

自然を尊重し、その中で
共に生きていくことを、
先々まで考えた、視野の広い
考え方をするというのは、
どうでしょうか。

※現在の状況で、「駆除」を
否定しているわけではありません。
もともとは人間の安易な行為が、
原因になっているということを
言いたいのです。

「個」の命だけを考えると、
その場その場で、
「かわいそう」という
感情を強く感じ、
手を出したくなります。

だけど、少し立ち止まって、
そこで手を出すことが、
人がその動物の行動や命を
管理することが、
本当にその動物のためになるのか、

全体のバランスを崩すことに
ならないか、考えてみるように、
したいと思います。

「個」の命のことだけを
考えると、避妊去勢が
当たり前のように推奨されたり、

ペットが亡くなることがつらくて、
また、亡くなると次のペットが
迎えられなかったり、

人間自身も、つらい想いを
することになるのでは
ないでしょうか。

命はめぐっていること、
亡くなれば、その体はまた
次の命を育む栄養に
なっていくこと、

そうやって命が
続いていくことこそ、
生きる意味なんだということを、
私は思います。

かわいそうなことは、
私もいやです。
病気で苦しむ姿や、
治療に苦しむ姿を、
見たくはありません。

だけど、動物も、人間も、
死ぬときは本当に壮絶です。
それは、次に、命をつなぐための、
生き物の願いなんだとしたら、
自分もそんな世界に
生きているのだとしたら、

そんな想いが、
命を大切にすること、
命のつながりを大切にすること、

そこから、人のつながりや、
人と動物のつながりを
大切にすることに、
つながっていくのでは
ないでしょうか。

だけど、個人的なことを言えば、
やっぱり苦しむ姿は見たくない。

だから、食事を整えて、
それなりに健康に生きて、
その時が来たら、
次に命をつなげて
静かに旅立っていく、

そんな理想像を、
思い描いているのです。

命のつながりと犬の「繁殖」

「命をつなぐ」ということを
テーマに、お話ししてきましたが、
そうは言っても、犬の繁殖に
ついては、とてもデリケートで
難しい問題があると思っています。

先日、ある希少犬種の
犬の繁殖について、
いやな話を聞きました。

個体数が少ないため、
繁殖をして、この品種を残して
いくために、無理やり繁殖を
させているというのです。

嫌がる雌犬を押さえつけて、
無理やり交尾をさせるそうです。

これは、動物虐待では
ないでしょうか。

希少品種は、近親交配が
行われ、ますます病気に
なりやすくなっています。

百歩ゆずって繁殖を
認めたとしても、
「人工授精」という方法が、
あります。

動物に苦痛を感じさせてまで、
残す必要があることだとは、
思えません。

命はつながっていく、
それを想像して初めて、
本当の「生」と「死」が
見えてくるのではないでしょうか。

そして、そんな「生」を
できるだけ自然に、
その犬の体に本来備わってる
免疫力を引き出して、
最期まで力強く生きて
もらいたい。

そんな思いで、私は、
愛犬家のみなさんに、
愛犬に栄養バランスの取れた
手作り食を作ってあげることを、
おすすめしています。

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